2017年4月14日金曜日

いまこそ日本の立ち位置をかえるとき

 北朝鮮の崩壊が現実味を帯びてきている。
 ちまたのニュースやコラムなどによれば、崩壊のシナリオは米国のトランプ大統領が描いているとのことだ。
 こんなシナリオを描かざるを得ない一面には、われわれの母なる地球は広いけれど、核爆弾などで火遊びをするほどの広さはないのだと言うことだろう。
 実際、全くそのとおりで、チェルノブイリや福島県の現状を見れば火を見るより明らかである。血迷った核弾頭が日本海側の原子力発電所や中国、韓国の原子力発電所に命中すれば、またぞろ地球の陸地の利用面積が減ることになる。
 私の言いたいことの主旨はよくわかる。だが、トランプ大統領のやろうとしていることに不気味さを感じるという人たちも、一定数いるだろう。
 よくある反応は、「北朝鮮が核弾頭ミサイルを飛ばそうと、それは北朝鮮の勝手であって、アメリカの大統領が口出ししたり、手出ししたりすることじゃないよ。そんなことをされたらおちおち枕を高くして寝てもいられない。」というものである。
 こういった意見をもつ人々は、そんなに少ない数ではない。事実、テロ組織のISやそれに近いかつてのオウム真理教などの組織の活動にも賛同する人々は厳然としている。
 どちらの立場に立つのかによって、人間という動物は、両方を偏らずに考えたり賛同したりする能力は持ち合わせていないようだ。希望をもったり、努力する能力はあるので、第二次世界対戦後はみんなで反省して明るい世界をつくろうと努力してきた。でも、ロシアのようにどうしてもみんなと楽しくできないような民族もいて、結局、またぞろ元の木阿弥にかえろうという兆候がでてきている。
 私は、いま、皮肉を含んだ書き方をしている。
 が、現実の世界が皮肉の段階に到達しているのだから仕方がない。
 つまり、いま起こっていることは、私の目にはこのように見えるわけなのだが、実際に起こっているのは実は全ての地球人が自分たちの明日に希望をもち、努力しようとしている結果が招いている事態だということだ。
 まわりくどい書き方をしているが、それが事実なのだ。
 日本を含む西側の安定した社会を築いてきた国の人々は、これまでの繁栄を一層高めていこうとして、移民というフリーライダーを拒否している。他方、これまで悪政に苛まれてきた国の人々は、安定した国を創り出そうとまずは一旦日々糧を稼ぐために西側に移住しようとしている。
 穿った見方をしているのとは少し違う。
 人間という動物は物事を考える能力をもつが、やはり基本は他の動物と同様、有限の生命の中で食物を摂取して安住しなければ生きながらえない以上、立場や環境の違いによってこうした事態に至るのは至極当然なのであり、「利他性」や「寛容性の発揮」などと自分はしないけど、あなたお願い的なことにはならないのだなあと、静かに落胆しているのが正確なところだ。
 それで、結局北朝鮮が崩壊すると平和で安定した世界が訪れるのか、というとそれも本当ではないことは歴史が物語っている。ただ、とても重要なことは、北朝鮮の気の向くままに核弾頭をつけたミサイルが発射されれば、確実にわれわれの住む惑星地球はダメージを受け、核の汚染は数百年の長きにわたりの人類を汚染し続けるだろうということである。
 チェルノブイリと福島では、それを既にやってしまっている。またぞろ日本では原子力発電所の稼働が許可されているが、人類の生存に対する負債を返したわけではない。そうした意識をもつことを積極的にしないのが日本人だが、世界民の一端を担う国民としては、真面目に取り組んでいかなければ他の国民に非礼にあたるのではないだろうか。
 戦後70年を迎え、戦勝国アメリカも日本に対してある程度寛容さを示してくれているのだから、戦前の日本に戻るのだとか、教育勅語がどうしたとか、無神経なことを言っていないで、世界がぎすぎすしないような手立てについて日本はこう考え、こう行動するといったことを表明していくのが正しい姿なのではないか。つまり、いまこそ日本の立ち位置をかえるのに最適な時期もなかろう。進んでかえよう。
 と、思うこのごろであった。      完