2009年7月9日木曜日

パソコンの致命的な課題

今年から本格的にブレークした低価格パソコン。凌ぎを削って低価格を実現しているメーカーには頭が下がる。でも、安くなっても軽くなってもパソコンには課題がある。それは、一部の製品を除き、基本的に立ち上がりが遅いという致命的な課題。僅かに3分程度かも知れないが、こまめに電源を落す者にとってはレジュームからの立ち上がりでも気に障る。テレビのように瞬時に使用状態にならないものか。
 パソコンの立ち上がりが遅くて何となくパソコンを利用することが煩わしく、利用を控えている人も多いだろう。別に利用者を拡大させたいので立ち上がりを早くして欲しいと言っているのではない。第二の産業革命と言われるパソコンは自動車よりももっと人間に親和性があってほしい。それによって、人間活動の支援が図られ、結果として資源利用の効率化にも繋がる可能性が高い。
 では、どうしたら素早く立ち上げることができるのだろうか。技術的には可能だと思われる。小型のパソコンで実現しているようなOSをメモリに保持する形式などがありそうだ。立ち上げでパソコンが行っていることは、OSをメモリに読み込んでいること。それを毎回毎回繰り返している。勿論、毎回同じ内容で読み込みをしないだろう。だとしても、立ち上がった環境の9割は共通すると思われる。だとすると、9割はメインメモリ内に常駐、つまり最初からICに焼き込んでおけばよい。通常は僅か1割の違いを修正すればよい。このように言うと、それでは特定の会社のOSに依存するのではないか、とかOSは進化の途上だからどんどんパッチをあてて書き換えなければいけないので不向き、といった指摘があろう。しかし、いつかは安定するであろうOSを待つより、現状で一定程度安定的に動くOSをインメモリにすればよい。もっと言うと、現状の構成に安定的なOSをIC化したボードを追加することがよい。コストの問題はパソコンメーカーが解決すれば良くて、瞬時に立ち上がるパソコンが欲しいと思うユーザは多少コストが高くても購入するであろう。BIOSの書き換えに似た方法やフラッシュメモリに取り込むという手もあり、少しの工夫で可能と思われる。
 即時立ち上げの意義は、人間の意思決定のサポートをする道具がパソコンであることにもよる。意思決定には通常、スピードが要求される。そこにパソコンがあるとき、思いついた瞬間に、あるいは即時の対応に使えなければありがたみがない。他方、即時の対応に使えるツールとして、携帯電話がある。だから、携帯電話は人の行動様式に適うものとして国や民族を超えて利用されている。携帯電話とパソコン、両者は帯たすきの関係にある。もちろんどちらかだけに特化させるのは技術や可能性の広がりを減じるので、相補関係にあってよい。しかし歴史的にみると、開発者はその中間のPDAなどをつくってきた。きっと、帯たすきを超えた何かを目指していたのであろう。例えば、ウェアラブルコンピュータのような。そういえば、googleが無料の素早いOSを開発し来年には供給予定という。やはり、革命を起こすのはgoogleか。期待したい。